ホームレス・ワールドカップは2003年より毎年開催されている、ホームレス状態の人が一生に一度だけ選手として参加できるストリートサッカーの世界大会です。
ボールさえあれば、どこでもできるサッカーは貧富や年齢、人種に関係なく人をつなぐことができる最高のツールになります。
世界に共通する貧困という問題や人間の可能性について世界中に人々に考えてもらい、同時に貧困状態にある人たちに楽しみや喜び、希望を感じるきっかけをつくるためにホームレス・ワールドカップは生まれました。
男性チームだけでなく、女子チームのトーナメントも設けられており、フェアプレーを重視したホームレス・ワールドカップならではのルールが設けられています。
2015年現在、約70カ国でホームレス・ワールドカップに向けた取り組みが実施されており、
2014年のチリ大会には49カ国から63チームが参加しました。
ホームレス・ワールドカップは、サッカーを通して生きがいや人との関わりを取り戻し、自信をつけてホームレス生活から脱することを目的としている大会でもあるため、大会への参加資格は一生に一度としています。
日本チームでは、海外で開かれるホームレス・ワールドカップへの出場を目指す過程で、パスポート取得の支援にも力を入れています。パスポートを取得すると、ホームレス状態になったことで失った戸籍や住所を取り戻し、就職活動のきっかけになるからです。
日本では、NPO法人ビッグイシュー基金が運営の中心となり、代表チームを「野武士ジャパン」と命名し、2004年のスウェーデン大会、2009年のミラノ大会、2011年のパリ大会に出場しました。2012年には韓国の代表チームとソウルで日韓戦を開催しました。
現在、ボランティアのサッカーコーチ協力のもと、月に2回、東京で練習を続けています。
コート・ゴールのサイズ
・ コートのサイズ:22m×16m
・ ゴールサイズ:4m×1.3m
・ ペナルティ・エリア:半径4mの半円
・ コートは外壁に囲まれている
・ 外壁ボードの高さ:1.1m
・ 使用球:5号
チーム構成・時間・開始
・ 各チームはフィールドプレーヤー3人・ゴールキーパー1人がコートに立てる
・ 控え選手は4人まで
・ 試合は7分ハーフ ハーフタイムは1分間
・ 審判がコートにボールを投げ入れたら開始
・ 得点後は失点したチームのゴールキーパーからのスタート
ゴールキーパー
・ 得点ができない
・ ペナルティ・エリアを離れることはできない
・ 必要以上にボールを持ち続けることはできない
・ 味方選手から意図的なバックパスを手で拾うことはできない
ペナルティ・エリアに関して
・ フィールドプレーヤーはペナルティ・エリアに入ることはできない
・ ディフェンスの選手が自陣のペナルティ・エリアに入った場合は相手チームにペナルティキック(PK)が与えられる
常に相手のサイドに選手が一人
・ 試合中は各チーム最低一人の選手が相手陣内にいなければファールになる
・ チームの選手がブルーカード・レッドカードを受けている際には適用されない
最終順位は48チーム中48位
2年ぶりに、ホームレス・ワールドカップに参加した野武士ジャパン。
「人生を変えたい」とパリに乗り込んだ選手たちが立てた目標は、「自力の1勝」と「あきらめない」の2つ。なかなか勝つことができず、選手間で意見がぶつかったり、試合後のミーティングで怒鳴り声が飛び交うほど選手たちは必死で戦っていました。しかし、目標の「自力の1勝」はあげられませんでした。
最後まであきらめなかった選手たち
グッドスポーツマン賞、勇敢賞を受賞。
野武士ジャパンキャプテンのキーパー松田さんは、強烈なシュートを何度もはじき返し、「グッドスポーツマン賞」を受賞しました。また、意見の衝突を乗り越え、励ましあいながら、最後まであきらめずに、勝利を目指す選手たちの勇姿に、大会本部から「勇敢賞」が贈られました。
試合中には、他国の選手、応援団などから「ニッポン!」の大声援が送られました。選手たちは「あきらめず、チームが一つになれたことを誇りに、胸を張って日本に帰りたい」「いろんな人たちの力を借りて、ようやく人生のパスが回り出した。あきらめずにパスをつないで、人生の1勝を目指したいと思う」という感想でした。
最終順位は48チーム中46位
選手の平均年齢41.6歳。2005年より若返ったとは言っても、やはり、日本チームは最年長。野武士VSアルゼンチン4:6、野武士VSオーストラリア4:5と、奮戦したものの、一勝をあげることはできませんでした。
負けても野武士は大人気
ファイティングスピリッツ賞、個人フェアプレイ賞を受賞。野武士ジャパンは、現地では大人気。他国の選手・サポーターからも「Nippon」「NOBUSHI」と応援コールを受けました。
「最後まであきらめない」その姿勢は、大会本部からも評価され、ファイティングスピリッツ賞を受賞しました。
また、日本チーム最年少22歳の五味川さんが、フェアプレイ個人賞を受賞しています。現地の記者は、「大会の象徴」「得点するたび、会場全体がわいた」と、その人気を伝えています。
参加したメンバーからは、「これまでの悩みや不安がちっぽけなものだと思えた」「国境を越えて心を通わせることができた」「仕事だけでなく、趣味を持つこ とができた」などの声がありました。
練習試合
・株式会社スワン
・Bloomberg
・RFC(Rage & Football Collective)
・ゴールドマンサックス証券株式会社
国内大会サポート
・トヨタ自動車株式会社
・大塚製薬
・有限会社ファブフォー
ミラノ大会サポート
・アディダスジャパン株式会社
・株式会社トラベルアイ
ヴァージン・アトランティック航空、ブルームバーグ、フッティ・ジャパン、プーマなどの企業や個人有志の寄付協力、そして多くの市民の応援を得て『ビッグイシュー日本版』販売者8名が、スウェーデン・イェーテボリで開催された第2回大会に参加しました。
チームの平均年齢52.5歳 は大会最高、ほぼ全員がサッカーよりも野球ともに育った選手たちにとっては不安を抱えてのスタートでした。それでも、自分たちにできる最高のプレイを見て 欲しいと最後まで走り続けた姿は大会参加者の心を動かし、毎試合、敵側応援席からも「ジャポン、ジャポン」のコールが沸くほどの人気チームとなりました。
日本チームは、「すべてのチームの中で最もフェアに闘った」と満場一致でフェアプレイ賞を受賞し、メダルと生涯の思い出を胸に帰国。それから3年の間に8人の選手のうち7人が仕事をみつけ、ビッグイシュー販売から「卒業」されました。また、この日本チームの成功と健闘ぶりは、参加できなかった人たちにも夢と希望を与えました。